がりがりボードゲームおかわり

ボードゲームに関してがメインです。その他雑記。

掛け算で新たな体験を与えてくれるオススメ小箱3選

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■小箱の魅力

ボードゲームプレイヤー=重ゲー(1プレイ2時間オーバーなゲーム)好き、というイメージを持っている方も多いと思います。しかし、私は最近ゲーム会に参加するたびに「初プレイの場合、自分は軽いゲームの方が好きなのでは?」と感じることが多くなりました。

もちろん、どちらにも魅力があり、どちらが好きな方が優劣があるとは微塵も思いません。

私は傾向として、重たいゲームの新しいルールのインストを聞くのがあまり得意ではないため、初プレイでルールが重たそうだと1日に2作以上は気乗りがしなくなります。(ゲームが始まってしまえばもちろん楽しいですし、既にルールを把握している重ゲーを遊ぶのは大好きです。)

逆に、小箱の場合、ルール量は比較的少なく、すぐにゲームプレイを始めることができます。仮にイマイチだと感じるような作品でも、時間の消費は少なく済みますし、逆に楽しい作品ならば何度もリプレイできます。

また、「シンプルなルール量でこれだけのゲーム性・駆け引きが生まれるなんてすごい!」と、感動するのは小箱のルールを知った時の方が多いような気がします。

特に、既存のジャンルを掛け合わせて見事な化学反応でまだ経験したことのないような面白さを与えてくれる、私の大好きな小箱を今回は紹介します。

 

■神経衰弱×論理パズル 「ナナ」

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1作目は、2021年秋発売の「ナナ」です。

日本人のゲームデザイナー宮野華也さんが手掛けられた作品です。

今回この記事を書こうと思ったきっかけの作品でもあります。

ルールを簡潔に説明すると、1~12までの数字が書かれたカードが3枚ずつ存在するカードプールで、各プレイヤーの手札と場の伏せ札の中から同じ数字のカード3枚を見つけ出す、と言ったルールです。各プレイヤーの手札を指定する時は一番大きい数字or一番小さい数字しか指定することはできません。

「1は自分が2枚持っていて、さっきB君の一番小さい数字を指定したら3だったからC君が持ってるか、場に伏せられてるかのどっちかだな」と与えられた状況から論理的な思考でカードのありかを特定するゲームです。

ただ、このゲームはただの論理パズルではなく、場の伏せカード・各々の手札の最大・最小を神経衰弱のように記憶しておく必要があります。

ただでさえ記憶するだけでいっぱいいっぱいな脳みその使用状況のまま論理思考することを強いられて、脳みそのCPU使用率100%になる感覚を味わえます。

論理パズルのボードゲームと言いますと、クリプテッド、アルゴ、タギロンなど様々な名作がありますが、神経衰弱を掛け合わせるだけでここまで脳みそへの負荷を新鮮なものにできるのだという感動がありました。

 

■トリックテイキング×正体隠匿 「シャーマンズ」

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2作目は、こちらも2021年の作品「シャーマンズ」です。

トリックテイキングながら、プレイヤーの中に敵が混じっている正体隠匿要素があります。味方陣営は儀式を成功させようとトラックを進めますが、敵陣営は儀式を止めようと動きます。

トリックテイキングというある程度セオリーが共通認識であるゲームジャンルで、そのプレイを通じて別のレイヤーのゲーム(儀式を成功させようとする協力ゲームのようなレイヤーと正体隠匿のレイヤー)をプレイしているような感覚が何とも言えない気持ちよさがあります。それは盤面上の会話、に近い心地よさであると思います。

喋りではなくプレイで態度を示すことができますし、正体がバレても戦えるので、正体隠匿が苦手だというプレイヤーにもおススメです。

 

また、シャーマンという土着的なイメージに近未来・宇宙を感じさせるような抽象性を掛け合わせた美しいアートワークも魅力の大きな一つです。

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「トリックテイキング」というメカニクスはベースのゲーム性がしっかりしているためジャンルを掛け合わせた名作が他にも多く存在します。

例えば、

・トリックテイキング×ダイスロール×ドラフト ノコスダイス 

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ゲームの開始時に全員共通のダイスをロールして、プレイヤーはそれを1つずつドラフトしてカードの手札に加えての公開手札にする。場に残ったダイスのカラーは切り札となる。また、各プレイヤーは最後に残ったダイスが勝利数のビッド(宣言)となる。

という改めてルールを文章に起こすと入り組んでいて自分のプレイでコントロールできないのではないか、という気にもなりますがしっかりとまとまって面白く仕上がっています。

「ゲームの肝は自分の選択の善し悪しが結果に反映されること」だと最近常々思いますが、トリックテイキングは「自分の選択の善し悪しが結果に反映されること」を担保してくれるメカニクスであると言い換えられるのかもしれません。

・トリックテイキング×協力ゲーム ザ・クルー

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「ザ・クルー」は小箱にして2020年ドイツ年間エキスパートゲーム大賞を受賞したことでおなじみの協力型トリックテイキングです。

トリックテイキングは協力ゲームとしての相性も抜群です。

先述の通りトリックテイキングは「ある程度セオリーが共通認識であるゲームジャンル」ですので協力ゲームで最も気持ちの良い瞬間の一つである「言葉にしなくても意図が通じた」が発生しやすいです。

また協力型のトリックテイキングはミッション型であることが多いですが、1プレイが短いためトライ&エラーを繰り返しやすいのも魅力です。個人的には協力ゲームにおける失敗は、成功したときの快楽を何倍にも増幅させるスパイスであると思うので、この点は非常に重要です。

同じミッションでリプレイしたとしても違う展開になりやすい点も優秀であると言えます。

 

■ボーナンザ 交渉×ハンドマネジメント

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最後にご紹介にするのは1997年発売の「ボーナンザ」です。

先に紹介した2作に比べますとジャンルの掛け算感は薄いかと思いますが、非常に好きな作品ですので紹介させていただきます。

アグリコラ」でお馴染みのウヴェ・ローゼンベルクの初期の作品ですが、このボードゲームデザイナーの天才性を示す3作を挙げるとするならば「ボーナンザ」「アグリコラ拡張セット:泥沼からの出発」「オーディンの祝祭」であると個人的には思います。(なぜこの3作なのかもいつか記事にしたいです。)

かなり自由度の高い交渉ゲームですが、「手札の順番を変えてはいけない」「手札は順番にプレイしなくてはいけない」というハンドマネジメントの制限が掛かっています。これが交渉を非常に活発にします。交渉ゲームは基本的にはWIN-WINトレードを積み重ねていくゲームですので、お互いプラスな感情を積み重ねていき、アッパーなテンションになりやすいです。そのことが喋りを主体としたゲーム性にもいい影響を与える、と言った好循環で場の雰囲気が良くなりやすいのが素晴らしいです。

ボーナンザは他の交渉ゲーム(カタンなど)と比べ交渉の結果"本当はどちらにとってより有益な交渉だったか(出し抜いたのはどちらか)"が最終の結果発表まで見えにくいのもゲームを盛り上げている一因かもしれません。

 

■おわりに

今回紹介させていただいた作品はいずれも、小箱でありながらしっかりとしたゲーム性と個性を持った作品ばかりです。普段重たいゲームを好んでいるプレイヤーでも満足してもらえるかと思いますし、ボードゲームを始めて間もない方でもルール量の負担が少なく楽しんでもらえるのではないか、と思います。

価格も重ゲーと比べるとリーズナブルですので、是非皆さま遊んでみてください。

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